現場で育った感覚と、少しずつ変わっていった自分のこと【ワカバヤシ連載第1話】

家の前を通りかかったとき、ふと気づくことがあります。
「あ、この家、なんだかいいな」と思う瞬間。
外観が特別に派手なわけでもないのに、どこかしっくりくる。
そんな住まいに出会うと、その裏側にはどんな人たちの関わりがあったんだろうと、少し気になったりします。
今回お話を伺ったのは、株式会社ワカバヤシ、リ・ライフ部の米谷ひかりさん。
住まいづくりの現場に関わる仕事をしている方です。
まだこの仕事のことをよく知らない人にとっても、「どんな人が関わっているのか」が少し見えてくる、そんなお話でした。
目次
はじまりは、子どもの頃の現場の記憶

米谷さんがこの仕事に興味を持ったきっかけは、意外と身近なところにありました。
お父さんが大工さんで、幼い頃に現場へ連れて行ってもらった経験があるそうです。
そこで目にしたのは、ただ家をつくる作業ではなく、人と人が関わる空気でした。
お客様と打ち合わせをしながら、完成後のイメージを楽しそうに話す姿。
そして実際に家が完成したときに見せる、満足そうな表情。
「形になる前から一緒に喜んで、完成したらさらに喜ばれる」
そんな光景が、ずっと印象に残っていたと言います。
その記憶が、自然と「自分も関わりたい」という気持ちにつながっていきました。
最初に意識していたのは、とてもシンプルなこと

入社してからの一年間。米谷さんが大切にしていたのは、とても基本的なことでした。
「挨拶」と「笑顔」。
仕事の内容よりもまず、人としてどう関わるか。
お客様の家に伺うときや現場に入るとき、その一つひとつの場面で第一印象を意識していたそうです。
当たり前のことのように聞こえますが、実際にそれを毎回丁寧にやり続けるのは簡単ではありません。
特に慣れない環境の中では、余裕がなくなってしまうこともあるはずです。
それでも「人としての関わり」を最初に置いていたことは、今につながっている部分なのかもしれません。
一度立ち止まった経験が、考え方を変えた
ただ、最初から順調だったわけではありませんでした。
入社当時はまだ学生気分が抜けず、「誰かが何とかしてくれるだろう」と思ってしまうこともあったそうです。
その結果、うまくいかない出来事を経験し、上司から考え方について指摘を受けました。
そのときに初めて、自分の姿勢を見直すことになったといいます。
それ以降は、自分の発言や行動に責任を持つことを意識するようになりました。
今でも指摘を受けることはあるけれど、その都度少しずつ修正していく。
その積み重ねの中で、仕事との向き合い方が変わっていったそうです。
こういう話は、きれいな成長ストーリーにまとめられがちですが、実際はもっと地道で、少しずつの変化です。
でも、だからこそリアルで、どこか共感できる部分があるのかもしれません。
「イメージを形にする」という、答えのない仕事

今、米谷さんが大切にしていることは、とてもシンプルです。
「お客様がイメージしているものを、形にすること」
ただ、それは決して簡単なことではありません。
同じ家は一つとしてなく、構造も、環境も、条件もそれぞれ違います。
さらに現場では、材料の納め方や施工方法も毎回変わります。
理想をそのまま実現できるとは限らない中で、どう近づけていくかを考える必要があります。
そのために、職人さんと何度も打ち合わせを重ねながら進めていく。
現場ごとに「正解」が違うからこそ、毎回が試行錯誤の連続です。
この町で感じる、難しさとやりがい
この地域で住まいに関わる仕事をしていると、職人さんの技術の高さに驚くことも多いそうです。
同時に感じるのは、「同じ工事でも同じやり方が通用しない」という難しさ。
家によって条件が違うため、その都度最適な方法を考えなければなりません。
だからこそ、現場を理解することがとても重要になってきます。
その分、無事に工事が終わり、お客様に喜んでもらえたときの達成感は大きい。
その瞬間のために、日々の細かい調整や工夫があるのだと感じます。
「理想」を遠慮せずに話してほしい

これから家を探す人に伝えたいことを聞くと、こんな言葉が返ってきました。
「できる・できないは一度置いておいて、理想をそのまま教えてほしい」
条件や制約はあとから考えればいい。
まずは「こんな家にしたい」というイメージを持つことが大切だといいます。
要望が多いほど、提案の幅も広がる。
結果的に理想に近づける可能性も高くなる。
住まいづくりは、最初から正解が決まっているものではなく、一緒に探していくものなのかもしれませんね。
なんとなく気になる存在
今回お話を聞いていて感じたのは、派手なエピソードではなく、ひとつひとつの積み重ねでした。
子どもの頃に見た現場の記憶。
最初に大切にしていた挨拶と笑顔。
一度立ち止まった経験と、その後の変化。
どれも特別な出来事というより、日常の延長にあるものです。
でも、その積み重ねが今の仕事につながっている。
住まいは完成したあとしか見えませんが、その裏にはこうした人のストーリーがあるのだと、少し想像できる時間でした。
次回予告
今回お話を伺った米谷さんの中にも、仕事の原点として「現場の記憶」がありました。
では、この街で働く人たちは、そもそもどんなきっかけでこの地域と出会ってきたのでしょうか。
実は、ワカバヤシの中でも、そのきっかけは人それぞれ。
同じ会社にいながらも、見えている景色は少しずつ違うのかもしれません。
次回は、別の担当者の視点から「この街との出会い」をたどっていきます。
少し違う角度から、この地域のことが見えてくるかもしれません。
次回をお楽しみに。
株式会社ワカバヤシ
もっと人にフォーカス!ローカル連載
地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。
一度読んで終わりではなく、回を重ねるごとに少しずつ見えてくる背景や人柄。
そんな“地域の物語”を、ゆっくり楽しんでいただけたらうれしいです。
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