グラウンドには理由がある。横浜かもめスポーツクラブのはじまりの話【かもめSC 連載第1話】

かもめSC始まりの話

神大寺のグラウンドでは、週末になると子どもたちの声が響きます。

ボールを追いかける小学生たち。その様子を、少し離れた場所から見守る大人たち。

よく見ると、その中には少し年齢の違うコーチたちが混ざっています。

50代くらいのベテランコーチ。20代の若いコーチ。

でも話を聞いてみると、この人たちには共通点がありました。

「みんな、このクラブの出身なんです。」

子どもの頃ここでサッカーをしていた人が、大人になってまたグラウンドに戻ってくる。

そんな不思議な循環が続いているのが横浜かもめスポーツクラブです。

設立は1974年。神大寺や片倉周辺で、長く続いてきた地域のサッカークラブです。

今回から始まるこの連載では、そんなクラブの中にある「人の物語」を少しずつ紹介していきます。

第1回は、クラブ代表の石原コーチと、若い世代の中心となっている新倉コーチの“はじまりの話”です。

気づいたらコーチになっていた

石原コーチと選手たち
石原コーチと選手たち

石原コーチがこのクラブに関わるようになったきっかけは、特別な決意があったわけではありませんでした。

もともとこのクラブの出身。

高校サッカーの道を諦めたあと、卒業したクラブの社会人チームに入りました。

その頃、社会人チームの先輩たちが子どもたちのコーチもしていて、自然な流れで指導に関わることになったそうです。

「先輩たちがコーチをやっていたので、気づいたら一緒にやっていました。」

そんな始まりだったと言います。

ただ、やってみると意外と楽しく、そのまま10年ほどコーチを続けたそうです。

その後一度クラブから離れる時期もありましたが、自分の子どもが入団したことをきっかけに、再びグラウンドへ。

振り返ると、クラブとの関係はずっとどこかで続いていたようです。

弟のように感じていた選手たち

コーチを始めた頃、石原コーチはまだ若く、当時の選手たちは「弟みたいな存在」に感じていたと言います。

だからこそ、かなり厳しく接していたそうです。

サッカーのプレーだけではなく、挨拶やマナー、仲間との関わり方。

人としての基本的なことも、しっかり伝えようとしていたそうです。

今となっては懐かしい思い出ですが、当時は目の前の子どもたちに向き合うことに必死だったのかもしれません。

「こんなに長く続くとは思っていなかったですね。」

そう笑う石原コーチですが、いつの間にかこのクラブは、人生の中で大きな存在になっていたようです。

OBとして戻ってきた場所

新倉コーチと選手たち

もう一人のコーチ、新倉さんもこのクラブのOBです。

卒団してからも、時間があるときには顔を出していたそうです。

そうしているうちに、自然と練習を手伝うように。

「最初は、ここまで続けるとは思っていませんでした。」

新倉コーチは、そう話します。

それでも今も続けている理由は、

「自分が育ったクラブなので、少しでも盛り上げたいんです。」

そしてもう一つ。

「関わってきた人たちに、“かもめでサッカーをやってよかった”と思ってもらえたら嬉しいです。」

指導を始めた頃は、人数が少ない時期もあり、指導の難しさも感じていたそうです。

それでも続けてきたことで、少しずつクラブの輪は広がってきました。

今では会員も増え、OBを中心とした社会人チームも立ち上がっています。

同じ言葉では届かない

新倉コーチは、指導を続ける中であることに気づいたそうです。

最初は、自分が手本を見せながら「これができたらサッカーは楽しいよ」という感覚で教えていました。

でも、同じ伝え方ではすべての子どもに届くわけではない。

それに気づいてからは、選手一人ひとりに合わせた伝え方を考えるようになりました。

サッカーの技術だけでなく、子どもとの向き合い方も、少しずつ変わってきたそうです。

勝ち負けだけで見ないクラブ

横浜かもめスポーツクラブが大切にしていることは、とてもシンプルです。

それは「選手個人の成長を第一に考えること」。

もちろん試合では勝つことを目指します。でも、勝敗だけで選手を評価することはありません。

挨拶をすること。仲間を思いやること。最後まであきらめないこと。

サッカーを通じて、人としても成長していく。

そんな場所でありたいと考えています。

新倉コーチは、こんな言葉も教えてくれました。

「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない。」

だからこそ、自分自身も学び続ける。

指導者としてアップデートし続けることを大切にしているそうです。

地域のクラブとして

2025年、横浜かもめSCは設立50周年を迎えました

このクラブがもう一つ大切にしているのは、地域に根ざしたクラブであることです。

子どもたちだけではなく、保護者やOB、地域の人たちも含めて、クラブに関わる人すべてがつながっていく。

そんなクラブでありたいと考えています。

神大寺や片倉のグラウンドで、子どもたちがボールを追いかける姿は、この街の日常の風景の一つになっています。

この連載を読んでいる方の中にも、週末にグラウンドでサッカーをしている子どもたちを見たことがある人がいるかもしれません。

もしかすると、自分の子どもがボールを蹴り始める日もあるかもしれません。

そんなとき、この町には子どもたちの成長を長く見守ってきたクラブがある。

それを少し知ってもらえたら嬉しいです。

次回予告

今回お聞きしたのは、あくまで「始まり」の話でした。

では、このクラブはなぜこの町で続いてきたのでしょう。

横浜かもめスポーツクラブと、神大寺の町との関係。その始まりには、もう少し長い物語があるようです。

次回は、「この町との出会い」 をテーマにお届けします。

横浜かもめスポーツクラブ

HP https://www.kamome-sc.com/

お問合せ 090-4006-7834(かもめSC事務局)

メール yokohama.kamome.sc@gmail.com

もっと人にフォーカス!ローカル連載

地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。

一度読んで終わりではなく、回を重ねるごとに少しずつ見えてくる背景や人柄。
そんな“地域の物語”を、ゆっくり楽しんでいただけたらうれしいです。

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