夕方の「ちょっと助かる」が家族の時間を変えていく|YYファミリーキッチンのはじまり【YYファミリーキッチン 連載第1話】

YYファミリーキッチンの冷凍おかず

夕方、幼稚園や保育園のお迎えの時間。

子どもを連れて帰るその足で、「今日のごはんどうしよう」と頭をよぎる。

そんな日常、思い当たる方も多いのではないでしょうか。

その“ほんの少しの余裕のなさ”に、そっと手を差し伸べるような取り組みがあります。

保育園と連携し、お迎えのタイミングで受け取れる冷凍おかずやミールキットを届ける、YYファミリーキッチン。

その取り組みの背景には、代表籔本(やぶもと)さんの、現場で感じてきた小さな違和感と願いがありました。

想いだけでは届かなかった、あの日のこと

YYファミリーキッチン代表の籔本さん
YYファミリーキッチン株式会社
代表 籔本さん

籔本さんがこの仕事を始めた原点は、保育園で働いていた頃にさかのぼります。

日々の中で感じていたのは、「食育の大切さ」と「現実との距離」でした。

あるとき、忙しい家庭の父親に向けて、簡単に作れるレシピを手渡したことがあったそうです。

「これならきっとできるはず」そんな想いを込めて。

けれど後日、返ってきた言葉は、少し意外なものでした。

「思ったより難しくて、作れなかったんです」

そのとき、籔本さんの中で何かが変わったといいます。

どんなに良いものでも、“作れる形”でなければ届かない。想いだけでは、人の暮らしは変えられないのだと。

同時に感じていたのが、家族で食卓を囲む時間が減っていることでした。

それぞれの生活リズムの中で、食事がバラバラになり、自然と会話も減っていく。

その風景に、少しの寂しさと課題を感じていたそうです。

「一緒に作ろうか」の一言から

だからこそ籔本さんは、食事そのものだけではなく、その時間に目を向けるようになりました。

毎日じゃなくていい。月に何回かでもいい。

「今日これ一緒に作ろうか」

そんな一言が生まれるだけで、食卓の空気は少し変わる。

ミールキットは、ただの便利な食事ではなく、親子で同じ時間を過ごすきっかけになるもの。

そんなふうに考えるようになったといいます。

忙しいからこそ、全部を頑張らなくていい。少しだけ手を抜けるところをつくることで、その分、子どもと向き合う時間が増える。それが結果として、家族の関係を少しずつ豊かにしていく。

そんなイメージが、少しずつ形になっていきました。

伝わらなかった日々と、支えてくれた人たち

とはいえ、最初からうまくいったわけではありません。むしろ、伝わらないことの方が多かったそうです。

「夕食支援」と伝えても、保育園で食べるものだと思われてしまう。

どんなサービスなのか、どう使うのか、なかなかイメージしてもらえない。

どう伝えればいいのか。どうすれば理解してもらえるのか。試行錯誤の連続だったといいます。

それでも続けてこられたのは、届けたい想いがあったから。

そして、その想いに共感し、最初に手を挙げてくれた園長先生たちの存在があったからでした。

「やってみましょう」

その一言に、どれだけ背中を押されたか分からないと話します。

この取り組みは、一人ではできなかったもの。だからこそ、関わってくれた人たちと一緒に歩んでいきたい。

そんな気持ちが、今も変わらず根底にあるようです。

「心のゆとり」をつくるということ

籔本さんが大切にしているのは、「心のゆとり」です。

毎日の中に少し余白ができるだけで、人は優しくなれるし、会話も自然と生まれる。家族の時間も、少しあたたかくなる。

昔のように、毎日そろって食卓を囲むのは難しい時代かもしれません。

それでも、今の暮らしに合った形で、「みんなで食べよう」と思える瞬間があればいい。

YYファミリーキッチンという名前には、そんな家族の風景が込められています。

スピードの速い日常の中で、ふと立ち止まれる時間をつくること。

それが、この仕事の本質なのかもしれません。

この街で、日常に寄り添うかたち

保育園という場所を通じて、日々の暮らしのすぐそばにあるこのサービス。

特別なことではなく、「いつもの帰り道の中で」受け取れることにも意味があります。

忙しい日常の延長線上にあるからこそ、無理なく続けられる。

この街で暮らす人たちのリズムに、そっと寄り添うような存在です。

「ちょっと助かる」を感じる人へ

仕事に、子育てに、毎日を一生懸命に過ごしている方へ。

全部をちゃんとやろうとしなくてもいい、と少し肩の力を抜けるきっかけになるかもしれません。

夕方のバタバタした時間が、少しだけ穏やかになる。

そんな“ちょっと助かる”が積み重なることで、家族の時間も、少しずつ変わっていくのかもしれません。

話を聞いていて印象的だったのは、「特別なことをしたいわけじゃないんです」という一言でした。

ほんの少しのゆとり。ほんの少しの会話。その積み重ねが、きっと暮らしを変えていく。

派手ではないけれど、確かに日常の中に残っていくもの。

そんな取り組みなのかもしれません。

ふとしたきっかけで始まったこの活動も、よく聞いてみると、この街での経験や出会いが重なって形になっているようでした。

次回予告

次回は「この街との出会い」。

籔本さんがこの地域でどんな人と出会い、どんな風に関わりながら今の取り組みにたどり着いたのか。

もう少し、その背景をたどってみたいと思います。

YYファミリーキッチン

もっと人にフォーカス!ローカル連載

地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。

一度読んで終わりではなく、回を重ねるごとに少しずつ見えてくる背景や人柄。
そんな“地域の物語”を、ゆっくり楽しんでいただけたらうれしいです。

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