グラウンドで見えない準備。横浜かもめスポーツクラブの練習・活動の裏側【かもめSC連載第3話】

前回の記事では、横浜かもめスポーツクラブがこの街で長く続いてきた理由をたどりました。

神大寺や片倉のグラウンドで、子どもたちがボールを追いかける風景。

そこには、1974年から続いてきた地域のクラブとしての積み重ねがありました。

では、実際の練習では、どんな時間が流れているのでしょうか。

子どもたちはどんなふうに集まり、コーチたちはどんなことを見ながら、声をかけているのでしょうか。

第3回は、横浜かもめスポーツクラブの代表・石原コーチに聞いた、「練習・活動の裏側」のお話です。

始まりは、子どもたち自身のウォーミングアップから

普段の練習は、時間になると選手たちが自然とウォーミングアップを始めるところからスタートします。

コーチが大きな声で細かく指示を出して、全員を並ばせて、というよりも、まずは子どもたち自身が動き始める。

そこに、かもめSCらしさが少し見える気がします。

もちろん、そのあとはただボールを蹴るだけではありません。

その時々の課題に合わせて、約2時間のトレーニングを行っていきます。

試合で見えた課題。

最近の子どもたちの様子。

学年ごとの成長段階。

そうしたものを見ながら、その日の練習が組み立てられていきます。

「今日は何があるんだろう」と思えるように

石原コーチが練習で大切にしていることの一つが、子どもたちを飽きさせないことです。

これは、ただ楽しいメニューを並べるという意味ではありません。

同じような雰囲気で、同じテンションで、同じ流れの練習が続くと、子どもたちはどうしても慣れてしまいます。

慣れること自体は悪いことではありません。

でも、慣れすぎると、どこか緊張感が薄れたり、気持ちが入りにくくなったりすることもあります。

だから石原コーチは、その日の選手の様子やグラウンドの空気を見ながら、練習の強度を変えたり、声のかけ方を変えたりしているそうです。

「今日はどんなことがあるんだろう」

子どもたちがそんなふうに、少しワクワクしながら練習に入れるように。

そこには、見えない工夫があります。

同じ言葉では、全員には届かない

子どもたちに接するとき、石原コーチが意識しているのは、とにかく分かりやすい言葉を使うことです。

かもめSCには、1年生から6年生までの子どもたちがいます。

同じ小学生といっても、1年生と6年生では理解の仕方も、受け止め方もまったく違います。

だから、同じことを伝えるにしても、言葉を変えなければ伝わりません。

さらに石原コーチは、子ども一人ひとりの性格や反応も見ています。

勢いよく声をかけると動き出せる子もいれば、きちんと理由を伝えた方が納得して取り組める子もいます。

石原コーチの実感として、男の子と女の子でも、響く言葉や動き出すきっかけが違うことがあるそうです。

だからこそ、ただ一方的に言うのではなく、その子にとって届きやすい言葉を探している。

サッカーを教えているようで、実は子どもたち一人ひとりをよく見ている時間でもあるのだと思います。

グラウンドに立つ前から、準備は始まっている

サッカー教室

練習の裏側で、あまり知られていない準備もあります。

それは、コーチたちが選手について話し合っていることです。

サッカーの技術だけではありません。

その子が今どんな状態なのか。

どんなところでつまずいているのか。

どんな声かけが合っているのか。

そうしたパーソナルな部分まで共有しながら、コーチ同士で目線を合わせているそうです。

グラウンドで見えているのは、練習の時間だけかもしれません。でも、その前には、子どもたちを見る大人たちの話し合いがあります。

「この子には今、何が必要なのか」

そんなことを考えながら、次の練習に向かっているのです。

安心して通える場所であるために

今回のお話を聞いていて感じたのは、かもめSCの練習は、ただサッカーがうまくなるためだけの時間ではないということです。

もちろん、技術を身につけることも大切です。試合に勝ちたい気持ちもあります。

でもその前に、子どもたちが安心してグラウンドに来られること。

自分のことを見てくれている大人がいること。

仲間と一緒に、少しずつ成長していけること。

そういう土台を、コーチたちは大切にしているように感じました。

子どもたちが自然とウォーミングアップを始める。

その何気ない風景の奥には、見守る大人たちの準備と工夫がありました。

次回につづく

今回は、普段の練習や活動の裏側についてお届けしました。

ただ、地域のクラブを続けていく中には、外からは見えにくい大変さもきっとあります。

子どもたちと向き合う難しさ。

チームを運営する大変さ。

それでも続けている理由。

次回は、「じつは大変なこと」をテーマにお届けします。

グラウンドの明るい声の裏にある、少しだけリアルな話です。

横浜かもめスポーツクラブ

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もっと人にフォーカス!ローカル連載

地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。

一度読んで終わりではなく、回を重ねるごとに少しずつ見えてくる背景や人柄。
そんな“地域の物語”を、ゆっくり楽しんでいただけたらうれしいです。

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