「かもめ?まだあるの?」が、うれしい。横浜かもめSCがこの街で続けていく理由【かもめSC連載 第7話】

前回は、子どもたちの成長を見守ることが、コーチ自身の楽しみややりがいにもなっているというお話を紹介しました。
今回からは少し視野を広げて、「横浜かもめSCと地域との関わり」について。
サッカークラブと地域とのつながりと聞いて、私が最初に思い浮かべたのは、地域のお祭りに参加したり、イベントを開いたりすることでした。
もちろん、それもひとつ。
けれど石原コーチのお話を聞いているうちに、「地域に根ざす」って、それだけじゃないのかもしれないと思えてきました。
同じ街に長くあり続けること。
そこで暮らす人たちと顔を合わせ、関係をつくりながら、一緒に時間を重ねていくこと。
今回は、そんな「街クラブ」としてのかもめSCの姿が見えてきました。
サッカーを飛び出して、地域の中へ

横浜かもめSCでは、地域のお祭りに出店したり、同じ学校を使用しているバスケットボールクラブ「スリーポイントリリーズ」と連携して、地域の方向けのイベントを行ったりしています。
サッカーをする子どもとその家族だけでなく、地域に暮らすさまざまな人と接点を持つ。
そんな活動の中で、石原コーチの印象に強く残っているのが、「かんだいじナビ」と共同で開催した街探検イベントでした。
このイベントでは、片倉商和会の商店街ともコラボ。
そこで出会ったのは、自分たちのお店を営むだけではなく、地域そのものを元気にしようと動いている人たちでした。
変わっていく街。それでも、続けている人がいる
実は石原コーチ自身、幼い頃から片倉商和会の商店街でたくさん買い物をしてきたそうです。
だからこそ、馴染みのお店が少しずつなくなっていく様子も見てきました。
けれど街探検イベントを通じて、今もこの地域を愛し、動き続けている人たちのパワーに触れたとき、
「この商店街は、決してなくならない」
そう感じたといいます。
そして、そこから感じたのが「継続することの大切さ」でした。
この話を聞いていて、私はなんだか商店街とかもめSCが重なって見えました。
街の景色も、暮らす人も、子どもたちも変わっていく。
その中で、昔からそこにあるものが、形を変えながらも続いている。
新しいことを始めるのももちろん大切だけれど、「ここにあり続ける」こと自体にも、地域にとっての価値があるのかもしれない。
そんなことを感じました。
「かもめ?まだあるの?」
地域の方から、ときどきこんな言葉をかけられるそうです。
「かもめ? まだあるの? 昔からあるよね?」
石原コーチは、この言葉を聞くと「また頑張ろう」と思うのだとか。
最初にこの回答を読んだとき、私はちょっと笑ってしまいました。
「まだあるの?」って、一瞬だけ聞くと、なんとも言えない言葉です。
でも、よく考えたらすごいこと。
子どもの頃に知っていたクラブを、大人になっても覚えている人がいる。
「あそこ、昔からあるよね」と、地域の人の記憶の中に残っている。
それって、長い年月を積み重ねてきたクラブだからこそもらえる言葉なんですよね。
サッカー界では、新しい形のクラブも次々と生まれています。
そんな中、横浜かもめSCがこれからも大切にしていきたいのは、「街クラブ」として地域に根ざして活動すること。
目指すのは、
「神大寺でサッカーといえば、かもめ」
と自然と思い出してもらえる存在です。
サッカーだけじゃない。地域の暮らしの一部へ

では、横浜かもめSCにとって「地域に根ざす」とは何なのでしょう。
まずは、自分たちの考えや活動を地域の人に知ってもらうこと。
そこから応援してもらったり、一緒にできることが生まれたりしながら、自然と力を合わせられる関係になっていくこと。
そしていつか、神大寺、片倉、三ツ沢に暮らす人たちが幸せに暮らすことにも、少しでも関われたら。
石原コーチから出てきたのは、思っていた以上に大きな話でした。
でも、そのあとに続いた話を聞くと、決して遠い理想だけを語っているわけではないことが分かります。
小学生がスポーツを楽しみながら健康に過ごすこと。
週末、そこに関わる保護者やコーチにとっても、人とつながったり、楽しんだりできる時間になること。
一つひとつは、とても身近なことです。
クラブビジョンにも、地域との連携を深めていくことや、将来的にはサッカーだけにとどまらず、さまざまな年代がスポーツや文化に関われるクラブを目指していくことが描かれています。
今回お話を聞いて、「地域に貢献する」というのは、何か特別に大きなことをすることではないのかもしれないと思いました。
子どもが元気にボールを追いかけている。
それを大人たちが見守っている。
お祭りに行けば「あ、かもめだ」と声をかけてもらえる。
別の地域団体と一緒に何かをやってみる。
そんな小さな接点がいくつも生まれて、何年も、何十年も続いていく。
そしていつか、
「かもめ? まだあるの?」
と、また誰かに言ってもらえる。
もしかしたら、それこそが「地域に根ざす」ということなのかもしれません。
街の人たちと一緒に年を重ねながら、横浜かもめSCもこの街の風景のひとつになっていく。
今回のお話から、そんな未来が少し見えた気がしました。
次回予告
次回は、再び子どもたちと向き合う現場へ。
横浜かもめSCが大切にしている「指導のこだわり」についてお聞きします。
横浜かもめスポーツクラブ
もっと人にフォーカス!ローカル連載
地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。
一度読んで終わりではなく、回を重ねるごとに少しずつ見えてくる背景や人柄。
そんな“地域の物語”を、ゆっくり楽しんでいただけたらうれしいです。
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