朝3時から始まる花の仕事。野口さんが見せない「仕事の裏側」【エフルール 連載第3話】

エフルール野口さん

片倉町で活動する、店舗を持たない花屋「エフルール」。

前回は、この街との関わりや、高齢者施設での活動を通じて生まれた地域とのつながりについてお話をうかがいました。

寄せ植えやフラワーアレンジメント、植栽管理などを通して地域に花を届けている野口さん。

私自身もお話を聞くまでは、花の仕事というと「きれいなお花を扱う仕事」というイメージを持っていました。

でも実際に話を聞いてみると、その裏側には想像以上に地道な作業や準備がありました。

今回は、そんな野口さんの「仕事の裏側」を少しのぞいてみたいと思います。

一日の始まりは、まだ暗いうち

大田市場

野口さんの一日は、とても早く始まります。

花の仕入れがある日は、朝3時起床。

向かう先は、東京の大田市場です。

市場で切り花を仕入れ、朝7時頃には片倉町へ戻ってくるそうです。

そして休む間もなく、今度は仕入れてきた花の作業。

花の茎を整え、水を吸わせる「水揚げ」という作業を行います。

私たちが花屋さんで見る花は、すでに美しく並んでいますが、その前にはこうした準備があるのですね。

10時頃からは1件目の仕事へ。

昼食をはさんで午後の準備を行い、14時頃からは2件目の仕事。

さらに植栽のメンテナンスや打ち合わせなどが続き、帰宅するのは18時頃になることが多いそうです。

話だけ聞くと、かなりの長丁場です。

いざ市場へ(ドライブレコーダー画像)

花を並べる前にやることがたくさんある

花の仕事というと、アレンジメントを作ったり、寄せ植えを作ったりする場面が思い浮かびます。

でも実際には、その前段階の準備がとても重要なのだそうです。

市場から仕入れてきた花は、そのまま使えるわけではありません。

まずは種類ごとに仕分けをし、水揚げを行う。

さらに、フラワーアレンジメントで使う吸水スポンジも事前に準備します。

スポンジを適切にカットし、水をしっかり吸わせておく。

こうした作業も、一つひとつ欠かせない工程です。

完成した作品だけを見ると数分で作られたように感じるかもしれません。

でも実際には、その何倍もの時間を準備に使っているのです。

野口さんの家には「花の部屋」がある

話を聞いていて、思わず驚いたことがありました。

野口さんは店舗を持たない花屋です。

そのため一般的な花屋さんのような専用冷蔵庫はありません。

ではどうしているのかというと――。

自宅の一部屋を、まるごと花のための部屋にしているそうです。

温度管理を行いながら、仕入れた花を管理し、作品制作も行う。

暮らしの空間の中に、花の仕事場があるのです。

店舗を持たないという言葉だけを聞くと身軽な印象がありますが、実際は見えないところでたくさんの工夫がありました。

地域の方に新鮮な花を届けるために、できるだけ使用する直前に仕入れることも意識しているそうです。

当たり前のように見える花の美しさは、こうした細かな積み重ねの上に成り立っているのだと感じました。

実は「知ってもらうこと」が大きな仕事

エフルール

意外だったのは、野口さんがこんなことを話してくれたことです。

「エフルールは、まだ存在自体をあまり知られていないと思います(笑)」

店舗があるお店なら、前を通る人が自然と存在を知ることができます。

でもエフルールには店舗がありません。

だからこそ、自分たちから知ってもらう努力が必要になるそうです。

前回お聞きした、自転車でチラシを配っていた話もそうですが、活動を続ける今でも「まず知ってもらう」ということは大切な仕事の一つなのだそうです。

考えてみると、私自身も地域で活動している人を取材する中で、「良い活動なのに知られていない」という場面に何度も出会います。

エフルールも、まさにそんな存在なのかもしれません。

花の仕事は、想像以上に地道

花屋さんというと、華やかなイメージがあります。

色とりどりの花に囲まれて、素敵なアレンジメントを作る。

もちろんそれも仕事の一部です。

でも、その裏には早朝の仕入れがあり、重い花を運び、水を替え、掃除をし、温度管理を行う日々があります。

暑い日も寒い日もある。

汚れることもある。

体力も必要です。

野口さんは「本当に仕事が好きでなければ続かないと思います」と話してくれました。

その言葉には、不思議と重みがありました。

好きだから続けられる。

続けるから誰かに喜んでもらえる。

その繰り返しが、今のエフルールにつながっているのだと思います。

花を見て「きれいだな」と思うことはあっても、その花がどこから来て、どんな準備を経て届けられているのかを考える機会はあまりありません。

今回お話を聞いて、花を届ける仕事というより、「花が一番良い状態で届くように支える仕事」なのだと感じました。

野口さんは、表に出ることよりも、見えないところを丁寧に積み重ねるタイプの人なのかもしれません。

だからこそ、地域の中で少しずつ信頼が広がっているのだろうなと思いました。

次回予告

今回は、普段なかなか見えない仕事の裏側を教えていただきました。

でも、話を聞いていると、まだまだ見えていない部分があります。

花の仕事だからこその苦労や悩み。続けていく中で感じる難しさ。

次回は「実は大変なこと」。

野口さんが普段あまり口にしない、仕事のリアルな一面についてお聞きしていきます。

et Fleur

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