「無難」で終わらせない。窓辺から見える、この街の暮らしの変化【ルーミスト連載第2話】

前回は、ルーミストの宮田さんがインテリアの仕事を始めたきっかけについてお話を伺いました。
今回は「この街との出会い」。
とはいえ、宮田さんが語るのは特別な出会いのエピソードではありません。
20年以上この地域で暮らしに関わる仕事を続ける中で見えてきた、この街の住まいと人の変化についてのお話です。
目次
「無難でいいです」と言うお客様
ショールームにはたくさんのカーテンが並んでいます。
華やかな柄物もあれば、シンプルな無地もあります。
最近のお客様は「シンプル」「ナチュラル」「モダン」という言葉を使われる方が多いそうです。
宮田さんは、その背景には時代の変化もあるのではないかと感じています。
「ユニクロみたいな無地のバリエーションで育ったからかも、なんてお話をされる方もいますね」
実際、ご来店された方の中には「柄物はちょっと苦手で」と話される方も少なくありません。
けれど、じっくり話を聞いていくと、意外なこともあります。
あるお客様は最初、「色のない織り柄くらいなら」とお話されていたそうです。
ところが生地を見比べたり、お部屋のイメージを一緒に考えたりしていくうちに、「実はこんな柄もいいかも」と気持ちが変わっていきました。
最終的には家中すべての窓に柄物のカーテンを選ばれたそうです。
「どんなカーテンがあるのか知らなかったり、何ができるのか知らなかったりすると、どうしても『無難』にまとまりがちなんですよね」
その言葉が印象に残りました。
この街の家も少しずつ変わってきた
長くこの地域の住宅を見ていると、家そのものの変化も感じるそうです。
最近の住宅は耐震性を考えた設計も多く、大きな窓よりも小さな窓や縦長のスリット窓を見かけることが増えました。
おしゃれな印象がある一方で、「この窓に何を付けたらいいんだろう」と悩む方も少なくありません。
また、お部屋をすっきり見せたいという理由から、カーテンではなくロールスクリーンやブラインドを検討される方も増えているそうです。
「皆さん本当に勉強熱心なんですよ」
来店前にインターネットやSNSで調べて、自分なりのイメージを持っている方も多いのだとか。
住まいへの関心が高まっていることを感じるそうです。
暮らし方が変わると、窓辺も変わる

住宅の変化とともに、暮らし方も少しずつ変わっています。
以前よりも機能性を重視する相談が増えたそうです。
例えば遮光性。
雨戸やシャッターのない住宅も増え、夜になった時に室内の照明が外へ漏れないことを気にされる方が多くなりました。
また、趣味や在宅時間の増加によって、光のコントロールを重視するケースもあります。
宮田さん自身のご家庭でも、絵を描く娘さんの部屋には遮光1級のカーテンを使っているそうです。
差し込む光の向きや強さが変わらないようにするためです。
同じカーテンでも、見た目だけではなく暮らし方そのものに関わってくる。
そんな話を聞くと、窓辺の存在が少し違って見えてきます。
「これがいいと思います」と伝えることもある
ショールームには選びきれないほどの商品があります。
だからこそ迷う方も多いそうです。
そんな時、宮田さんは時には「私はこれがいいと思います」とはっきり伝えることもあると話してくれました。
以前、窓まわりについて何度も相談を重ねたお客様がいました。
悩んでいたカーテンもありましたが、住まい全体の色使いや壁紙のボーダーカラーなどを一つずつ整理しながら考えていったそうです。
そして最後には、自分の中で「これが一番いい」と思ったものを提案しました。
もちろん無理に勧めるわけではありません。
お客様の話を聞き、その人の暮らしを理解した上で出した答えです。
「ショールームって商品がたくさんあるので、迷ってしまうんですよね」
だからこそ、最後は誰かが背中を押してくれることも大切なのかもしれません。
この街の暮らしを見続けてきたから

住宅街を歩いていると、つい窓辺に目がいく。
前回そんなお話をされていた宮田さん。
今回お話を聞いていると、その理由が少し分かった気がしました。
窓の向こうには、それぞれの家族の暮らしがあります。
何を大切にしているのか。
どんな毎日を過ごしているのか。
二十年以上この地域の住まいと向き合ってきたからこそ、自然とそんなことを考えるようになったのかもしれません。
窓辺を見ることは、暮らしを見ること。
そんな視点を少し教えていただいた気がしました。
次回予告
次回は「仕事の裏側」。
お客様からは見えにくい、提案のための準備や学び続ける姿勢、そして二十年以上続けてきたからこそ感じる仕事の奥深さについて伺います。
お楽しみに〜。
ルーミスト
もっと人にフォーカス!ローカル連載
地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。
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