保育園のお迎えの先にあるもうひとつの安心【YYファミリーキッチン 連載第2話】

YYファミリーキッチンが届けているのは、保育園やこども園、幼稚園などと連携し、保護者の方がお迎えのタイミングで受け取れる冷凍おかずやミールキットです。
第1回では、籔本由美さんがこの仕事を始めた原点について伺いました。
「食事を届ける」だけではなく、忙しい毎日の中に少しのゆとりをつくり、家族の会話が生まれるきっかけにしたい。
その想いが、この取り組みの根っこにありました。
今回は、YYファミリーキッチンがこの地域とどのように出会い、どんなふうに日常の中へ入っていったのかを聞いていきます。
目次
保育園のお迎え時間に、そっと寄り添う

現在、YYファミリーキッチンを利用している方の多くは、保育園やこども園、幼稚園に通う子どもたちの保護者です。
園での販売というと、最初は少し不思議に感じる方もいるかもしれません。でも、よく考えてみると、そこにはとても自然な流れがあります。
朝から仕事をして、夕方に子どもを迎えに行く。
そこから買い物に行って、家に帰って、夕食を作る。
この一連の流れは、当たり前のように見えて、毎日続けるにはかなり大変なことです。
だからこそ、保育園のお迎えのタイミングで夕食の選択肢がひとつ増えることには、大きな意味があります。
「今日はこれを買って帰ろう」そう思えるだけで、その日の帰り道が少し軽くなる。
籔本さんが大切にしているのは、そんな日常の中の“ほんの少し助かる”という感覚なのだと思います。
「今日の晩ごはん」にも、「困った日のため」にも
利用する方の多くは、その日の晩ごはんのおかずとして購入されるそうです。
ただ、冷凍で保存できるため、もう一つ、二つと買っていく方も少なくありません。
「困った日のために」
「何もない日のために」
「今日は作れない、という日のために」
そうやって、冷凍庫に少し安心を置いておくような感覚でしょうか。
毎日をきちんと回そうとするほど、食事の準備は重たく感じる日があります。
家に何もない。買い物にも行きたくない。料理をする気力も残っていない。
でも、子どものごはんは用意しなければいけない。
そんな日に、ふと「そういえば冷凍のおかずがあった」と思えること。
それは、単なる便利さ以上のものかもしれません。
「本当に助かりました」の一言

籔本さんが、この事業をやっていてよかったと感じる瞬間があります。
それは、保護者の方から「家に何もなくて、買い物も料理もしたくないけれど、どうしようと思いながら保育園に迎えに行った日に販売があって、本当に助かりました」という声をもらったときだそうです。
この言葉には、忙しい家庭のリアルが詰まっています。
決して大げさな話ではありません。でも、こういう日は、きっと多くの家庭にあります。
仕事で疲れている日。
子どもの機嫌が悪い日。
予定が詰まって、気持ちに余裕がない日。
そんな日に「助かった」と思えるものがあることは、暮らしの中でとても大きい。
籔本さんにとって、その声はサービスへの評価というより、「この取り組みは、ちゃんと誰かの日常に届いている」と感じられる出来事だったのではないでしょうか。
親子でメニューを選ぶ姿に感じること

もうひとつ、籔本さんが嬉しくなる場面があります。
それは、親子で毎月の販売を楽しみにしてくれている姿です。
「今日はどれにする?」「これ食べたい」
そんなふうに、親子でメニューを選んでいる様子を見ると、とても嬉しくなるといいます。
また、「自分で選ぶから、子どももよく食べてくれる」という親御さんの声も喜びの一つになっているそうです。
ここに、YYファミリーキッチンらしさがあるように感じます。
ただ買って帰るだけではなく、選ぶ時間そのものが、親子の小さな会話になっている。
食卓に並ぶ前から、すでに家族の時間が始まっている。
忙しい毎日の中で、親子の会話は特別な場所で生まれるわけではありません。
帰り道や、買い物の途中や、夕食を選ぶちょっとした時間の中に、ふと生まれるものなのだと思います。
駅、人、住宅、畑が近くにある地域

籔本さんは、この神大寺・六角橋・片倉・三ツ沢エリアについて「駅、人、住宅、畑がとても近く、素晴らしい環境」だと話します。
便利さと暮らしの距離が近い。
人の生活があり、子どもたちの声があり、少し歩けば畑の風景もある。
都市の中にありながら、どこかあたたかさを感じる。
そんな地域の雰囲気が、YYファミリーキッチンの取り組みにも合っていたのかもしれません。
もともと籔本さんには、この地区の保育園で働いていた経験がありました。
土地勘があり、地域の空気も知っていた。
そして何より、親しみやすい街の雰囲気に惹かれていたそうです。
だからこそ、この場所で始めることは、まったく知らない地域に飛び込むというより、すでに少し知っている日常の延長に、もう一度関わっていくような感覚だったのかもしれません。
地域の日常に、無理なく入っていく
YYファミリーキッチンの取り組みが届けたい言葉は、「ぜひ買ってください」ではなく、「おかえりなさい」なんだとか。
保護者の方々をお迎えする気持ちで、毎日頑張る子育てやお仕事を少しでも支えたい。
そんな思いを込めて、「今日もお疲れさまです」という気持ちとともに声をかけているそうです。
商品を販売すること以上に、忙しい毎日の中でほっとできる存在でありたい。
その距離感が、このサービスらしさなのだと思います。
保育園のお迎え。帰り道。今日の晩ごはん。冷凍庫にある安心。親子で選ぶメニュー。
どれも、地域で暮らす人たちにとって特別なものではなく、毎日の中にあるものです。
だからこそ、YYファミリーキッチンは地域との接点を、暮らしのすぐそばにつくっているのかもしれません。
籔本さんの話を聞いていると、この取り組みは「食事の販売」という言葉だけでは少し足りないように感じます。
それは、忙しい保護者の気持ちを少し軽くすること。
親子で会話するきっかけをつくること。そして、地域の日常の中に「今日は少し助かった」と思える瞬間を増やすこと。
この街との出会いは、籔本さんにとって、ただ事業を始める場所を見つけたということではありませんでした。
もともと知っていた地域の空気、人のあたたかさ、暮らしの近さ。
その中で、自然と形になっていった取り組みだったのだと思います。
次回予告
次回は「仕事の裏側」。
冷凍おかずやミールキットがどのように準備され、どんな工夫や苦労を重ねながら家庭へ届けられているのか。
普段は見えにくいYYファミリーキッチンの裏側を、もう少しのぞいてみたいと思います。
YYファミリーキッチン
もっと人にフォーカス!ローカル連載
地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。
一度読んで終わりではなく、回を重ねるごとに少しずつ見えてくる背景や人柄。
そんな“地域の物語”を、ゆっくり楽しんでいただけたらうれしいです。
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