「屋上庭園も、野菜づくりも!?」花屋のイメージを飛び越えるエフルールの仕事【エフルール 連載第7話】

植栽管理
中学校の植栽管理

「花屋さん」と聞くと、色とりどりの花が並ぶお店を思い浮かべませんか?

私も、花屋さんといえばそんなイメージでした。

ところが、エフルールの野口さんにはお店がありません。

そして、その仕事も花束やフラワーアレンジメントをつくるだけではないそうです。

今回は、店舗を持たないエフルールが地域でどんな仕事をしているのか、そして、なぜそのスタイルを選んでいるのかを伺いました。

お花を持って、地域のさまざまな場所へ

高齢者施設でのフラワーアレンジメント

エフルールの仕事で多いのが、高齢者施設でのフラワーアレンジメントです。

デイサービスの利用者さんや施設の入居者さんと一緒に、花に触れ、アレンジメントを楽しむ時間をつくっています。

第5回では、毎月この時間を楽しみにしているという参加者さんのお話も紹介しました。

花を買いに来てもらうのではなく、野口さんがお花を持って出向いていく。

店舗を持たないエフルールらしい、地域との関わり方の一つです。

でも、仕事の幅はそれだけではありません。

花屋さんが、お庭のお手入れも?

雑草の抜き取りビフォーアフター

野口さんのお話を聞いて、少し意外だったのが「植栽管理」という仕事です。

植栽管理とは、庭や施設などに植えられた樹木や植物を手入れし、良い状態に保つこと。

エフルールでは、施設の年間管理から個人宅のスポット作業まで対応しています。

年間管理では、春と秋の年2回ほど訪問し、植木の剪定や草刈りなどを行うそうです。

一方、スポット作業は、お客様が必要とするタイミングで行うお手入れ。

最近では、雑草に困っている方から「砂利を敷いて、お手入れが楽になるようにしてほしい」という相談も増えているのだとか。

確かに、お庭があるのはうれしいけれど、草取りやお手入れはなかなか大変。

特に夏場の草取りなどは、考えるだけでも汗が出てきそうです。

野口さんは、そんなお客様の「きれいに保ちたい」という気持ちに応えることも、仕事の一つだと話します。

「面倒なお庭作業が軽減したと喜んでいただいています」

花を飾って楽しむことも、植物のある場所を心地よく整えることも。

どちらも植物と人の暮らしをつなぐ仕事なのだな、と感じました。

「施設の屋上に庭園を造れますか?」

屋上庭園イメージ

これまでの仕事の中には、野口さん自身も驚いた依頼があったそうです。

それが、高齢者施設の新施設開設にあたって寄せられた、

「施設の屋上に庭園を造れますか?」

という相談でした。

屋上に庭園!

花屋さんへの依頼としては、ちょっと想像していなかった仕事です。

野口さんも、自分一人ではどうにもならない内容だったといいます。

そこで、植木屋さんをしている先輩に協力をお願いし、無事に屋上庭園を完成させることができました。

そして現在、その庭園では施設の利用者さんたちが種から花を育て、きれいに彩ってくださっているそうです。

完成させて終わりではなく、その場所で今も花が育ち、人が関わっている。

なんだか、その後の様子まで聞けたことがうれしくなりました。

一人ではできない仕事も、周りの力を借りながら形にしていく。

そんなところにも、野口さんの仕事の広がりが見えます。

野菜づくりも楽しみながら

施設内の菜園

さらに、こんなお仕事も。

別の施設では、職員さんが取り組む季節の野菜づくりもサポートしているそうです。

施設のお庭で野菜を育てているものの、なかなか思うように育たないこともあったのだとか。

そこで野口さんは、羽沢の農家さんから野菜の苗や育て方のノウハウを仕入れ、栽培や管理をお手伝いしています。

ここまでくると、もはや花屋さんというより、植物の何でも相談屋さんのようです。

そして野口さんから、こんな一言も。

「秋の芋掘りを楽しみにしています」

お仕事として関わりながら、野口さん自身も収穫を楽しみにしているんですね。

仕事の話を聞いていたはずが、最後は秋の芋掘りの話に。

野口さん自身も楽しみにしている様子が、なんだか印象に残りました。

お店がないから、できること

そもそも、野口さんはなぜ店舗を持たないのでしょうか。

その理由を尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「店舗型とは、お客様との向き合い方に大きな違いがあると考えています」

野口さんのように小規模で仕事をする場合、店舗があれば、どうしてもお店の営業が第一になる。

そうなると、お客様との関わり方も限られてしまうのではないか、と考えているそうです。

一方、店舗を持たないことで、

「人に喜んでいただける、もう一歩踏み込んだ提案やサービスができるようになった」

と感じているといいます。

なるほど。

お店がないというと、最初は少し不便そうにも思えました。

でも、野口さんにとっては、お店を構えないことが仕事の自由さにつながっているんですね。

そして、もう一つ印象に残った言葉があります。

「ご相談やご依頼には最大限お応えして、一度きりの関係にならないようにしたい」

花を買って終わり、仕事を依頼して終わり、ではなく。

その後も何かあったときに、また相談してもらえる関係でありたい。

第6回では、再び仕事を依頼してもらえることが何よりうれしい、と話していた野口さん。

今回のお話を聞いて、その喜びの背景には、こうしたお客様との向き合い方があるのかもしれないと思いました。

花屋さんだけど、花だけじゃない。

お店がないからこそ、地域のさまざまな場所へ出向き、人と関わり、できることを広げていく。

エフルールの仕事は、私が最初に思い浮かべた「花屋さん」より、ずっと幅広いものでした。

次回予告

今回は、エフルールが地域で手がける、ちょっと意外なお仕事を紹介しました。

では、花を扱う野口さんご自身は、どんな花が好きで、どんな表現をするのでしょうか。

次回は、「こだわりの裏側」。

野口さんの作品や好きな花を通して、その人らしい感性や作風に迫ってみたいと思います。

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