「またお願いします。」そのひと言が、この仕事の宝物になる【ルーミスト連載第5話】

「また宮田さんにお願いしたくて。」
そんな一本の電話が入ることがあるそうです。
カーテンは毎年買い替えるものではありません。
だから、一度お手伝いしたお客様と再びお会いする機会は、それほど多くはない仕事です。
それでも数年後、新築や住み替え、ご実家のリフォームなどをきっかけに、「前に担当してもらったので」と連絡をくださる方がいる。
宮田さんは、その話を少し照れくさそうにしてくださいました。
「好みが伝わる」という安心感
以前担当したお客様から、再びご指名をいただく理由を尋ねると、「イメージのニュアンスが伝えやすいからかもしれません」と話してくださいました。
色や柄の好みは、人それぞれ違います。
「落ち着いた感じ」
「やさしい雰囲気」
「少し華やかにしたい」
そんな言葉も、人によって思い描く景色は少しずつ違います。
けれど、一度一緒に悩みながら窓辺をつくった経験があると、「こういう感じですよね」と、お互いのイメージが少しずつ重なっていく。
その積み重ねが、「またお願いしたい」という気持ちにつながるのかもしれません。
さらに、お客様がご家族やご友人を紹介してくださることもあるそうです。
商品ではなく、人と人とのつながりで広がっていくご縁。
それも、この仕事ならではの喜びなのだと感じました。
「相談してよかった」のひと言

長くこの仕事を続けていても、やはり嬉しい言葉があります。
「相談してよかった。」
「いい提案をしてもらえました。」
派手な言葉ではありません。
でも、宮田さんは「やっぱり嬉しいですね」と笑います。
インテリアは、正解が一つではない仕事です。
だからこそ、お客様も「これでよかったのかな」と迷いながら選んでいることがあります。
その不安が、「相談してよかった」のひと言に変わる。
それは、カーテンを選んでもらえたこと以上に、その時間そのものを信頼していただけた証なのかもしれません。
「友達に褒められたんです」

もう一つ、忘れられない言葉があるそうです。
「友達に『素敵だね』って褒められたんです。」
その報告を聞いた時は、本当に嬉しかったと話してくださいました。
カタログから選ぶだけなら、同じ商品を選ぶ人はたくさんいます。
でも、少しだけアクセントになる生地を加えたり、切り替えを入れたり。
ほんの少し工夫するだけで、その家だけの窓辺になります。
お客様自身も、「こんなことができるなんて知らなかった」と驚かれることがあるそうです。
暮らしの中で毎日目にするものだからこそ、「自分らしい」と思えることには、大きな価値があるのかもしれません。
そして、その窓辺を誰かが褒めてくれたことを、わざわざ報告してくださる。
その出来事には、お客様の嬉しさと、提案した側の嬉しさが重なっているように感じました。
窓辺が変わると、暮らしの表情も変わる

カーテンが取り付けられた日のことを想像してみてください。
何も掛かっていなかった窓に、新しいカーテンがかかる。
部屋の印象が変わり、光の入り方が変わり、空間全体の雰囲気が変わる。
宮田さんは、その瞬間のお客様の笑顔を見るのが一番好きだと話します。
「思い描いていた通りになった。」
そんな表情を見ると、この仕事をしていてよかったと思うそうです。
窓辺は、暮らしの脇役かもしれません。
けれど、毎日目にする場所だからこそ、気持ちにも少し影響を与えてくれます。
朝カーテンを開ける時。
夜、部屋の明かりを灯す時。
ふと目に入る窓辺が、自分の好きな景色になっている。
その小さな積み重ねが、毎日の心地よさにつながっているのかもしれません。
人を覚えている仕事
今回お話を聞きながら印象に残ったのは、「お客様を覚えている仕事」なのだということでした。
何を選んだかだけではなく、どんなことに悩み、どんな暮らしを思い描いていたのか。
そんな時間ごと記憶に残っているからこそ、再会した時にも自然と会話が続いていくのでしょう。
インテリアを提案する仕事でありながら、その根っこにあるのは、人との関わり。
だからこそ、「またお願いします」という言葉が、何より嬉しいのかもしれません。
次回予告
お客様との出会いを重ねながら、長く続けてきたこの仕事。
では、宮田さん自身は、この仕事のどんなところに魅力を感じているのでしょうか。
次回は「この仕事の好きなところ」をテーマに、その想いを伺います。
ルーミスト
もっと人にフォーカス!ローカル連載
地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
このコーナーでは、神大寺・片倉エリアでがんばる人たちやお店のストーリー、地域の取り組み、暮らしのヒントなどを、シリーズ形式でお届けしていきます。
一度読んで終わりではなく、回を重ねるごとに少しずつ見えてくる背景や人柄。
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