仕事の裏側にあるのは、特別な工夫より「当たり前」の積み重ねだった【IE神大寺校 連載第3話】

前回は、スクールIE横浜神大寺校がこの街と出会った経緯について伺いました。

今回は少し視点を変えて、「仕事の裏側」がテーマです。

塾というと、授業をしている姿や受験指導の様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。

けれど実際には、子どもたちの前に立っている時間以外にも、たくさんの仕事があります。

井上室長のお話を聞いていると、そこには特別なノウハウや派手な工夫というより、「当たり前のことを続ける」という姿勢が見えてきました。

教室の一日は、掃除から始まる

掃除

取材の中で、「毎日まず何をするんですか?」と聞いてみました。

返ってきたのは、とてもシンプルな答えでした。

掃除機をかける。

机を拭く。

消毒をする。

トイレを掃除する。

正直なところ、少し意外でした。

もっと教育に関する専門的な準備の話が出てくるのかと思っていたからです。

でも考えてみれば、子どもたちが毎日通う場所です。

どんなに良い授業をしていても、教室が汚れていたら落ち着いて勉強はできません。

「勉強を教える前に、まず環境を整える。」

井上室長はそんなことを特別に語ったわけではありません。

ただ、毎日当たり前のように続けている姿を想像すると、その考え方が自然と伝わってくる気がしました。

掃除が終わると、今度はメールの確認。

保護者からの連絡や振替の相談、休校の連絡などを確認していくそうです。

子どもたちが来る前から、教室の一日はすでに始まっています。

「学習塾は待つ営業なんです」

今回、一番印象に残った言葉があります。

「学習塾は待つ営業なんです。」

最初は意味がよく分かりませんでした。

塾という仕事は、教える仕事だと思っていたからです。

ところが話を聞いているうちに、その言葉の意味が少しずつ見えてきました。

保護者から突然相談の電話が入ることもある。

生徒が授業前に悩みを話し始めることもある。

予定していなかった面談が始まることもある。

教育の現場は、時間割通りに進むことばかりではありません。

だから「待つ」というのは、何もしないことではない。

いつでも動けるように準備しておくこと。

そんな意味なのだろうと感じました。

教室の仕事というより、人と向き合う仕事。

井上室長の言葉を聞いていると、そんな印象を受けます。

百人百色。その言葉が自然に出てくる理由

子どもたちとの関わりで大切にしていることを聞くと、井上室長はこう答えてくれました。

「百人百色です。」

十人十色ではなく、百人百色。

その表現が妙に印象に残りました。

毎日たくさんの子どもたちと接していると、一人ひとり本当に違うのだそうです。

勉強が得意な子もいれば苦手な子もいる。

すぐに話してくれる子もいれば、何週間もかけて少しずつ心を開く子もいる。

当然ですが、同じ学年だからといって同じ接し方が通用するわけではありません。

その子が今どんな状態なのか。

何に困っているのか。

どんな言葉なら届くのか。

そんなことを考えながら向き合っているそうです。

話を聞いていると、教育というより、人との付き合い方の話を聞いているような気持ちになりました。

「特別な工夫はしていません」

運営で工夫していることを聞いたときも、少し意外な答えが返ってきました。

「特別な工夫はしていません。」

最近は教育業界でも、独自メソッドや特別な指導法を打ち出すことが少なくありません。

だからこそ、この言葉は逆に印象に残りました。

その代わりに井上室長が話してくれたのは、もっとシンプルなことでした。

授業料をいただいている以上、プロとして責任を持つこと。

目の前の生徒にきちんと向き合うこと。

それだけだと言います。

でも、その「それだけ」が一番難しいのかもしれません。

長く続けていると、さまざまな生徒と出会います。

不登校を経験した生徒もいたそうです。

苦しんでいる姿を見ながら、どう声を掛ければいいのか悩むこともあったといいます。

その生徒が通信制高校を経て大学に合格したときは、本当にうれしくて涙が出たそうです。

一方で、今年度は東京大学理科Ⅰ類に合格した生徒もいました。

ただ、不思議なことに話を聞いていて強く印象に残ったのは、合格実績ではありませんでした。

それぞれ違う状況にいる子どもたちに向き合ってきた時間です。

目標の大きさは違っても、目の前の一人として接する。

その積み重ねが、この教室に生徒が集まる理由なのかもしれません。

見えないところに、その教室らしさがある

取材前、「仕事の裏側」と聞いて想像していたものとは少し違いました。

もっと特別な仕組みや、驚くような工夫があるのかと思っていたのです。

でも実際に聞けたのは、掃除の話でした。

メール確認の話でした。

相談を待つ話でした。

どれも派手ではありません。

むしろ、とても地味です。

けれど、その地味な積み重ねがあるからこそ、子どもたちは安心して通うことができるのだろうと思いました。

井上室長は、自分を大きく見せようとするタイプではありません。

何度か出てきた「特別なことはしていません」という言葉も、本心なのだと思います。

でも取材を終えて振り返ると、当たり前のことを当たり前に続けることこそが、その人らしさなのかもしれません。

今回の話からは、そんな姿が見えた気がしました。

次回につづく

子どもたちと向き合う仕事は、やりがいばかりではありません。

順調に見える教室運営の裏側には、実はたくさんの悩みや難しさもあります。

次回は「実は大変なこと」をテーマに、普段あまり語られることのない現場の本音について伺います。

スクールIE 神大寺校

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もっと人にフォーカス!ローカル連載

地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
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