飾らない関わりの中で生まれる、心通うひととき【太陽の家横濱羽沢 連載第5話】

利用者さんのレクレーションタイム

介護施設で過ごす時間というと、特別なケアや行事を思い浮かべる方もいるかもしれません。

けれど、働く人の心に残っているのは、意外とそんな大きな出来事ではないようです。

利用者の皆さんと一緒に歌を歌ったり、何気ない会話をしたり。

そんな日常のひとときの中に、ふと心が通う瞬間があります。

今回お話を伺ったのは、特別養護老人ホーム太陽の家横濱羽沢で働く呉東あいさん。社歴3年の呉東さんに、これまでの仕事の中で心に残っている出来事について伺いました。

「喜んでもらうには、特別なことが必要」と思っていた

ある日のこと。

利用者の皆さんと歌を歌うレクリエーションの時間がありました。

事前に何か特別な準備をしていたわけではありません。

ユニットにある歌詞カードに合わせて、みんなで歌う。

始まってみると、利用者の皆さんが楽しそうに歌ってくださったそうです。

そして、終わったあとには「楽しかった」という言葉も。

その時間が、呉東さんの心に残っています。

それまでは、利用者様に喜んでもらうためには、何か特別なことをしなければいけないと思っていたそうです。

でも、実際にはそうではありませんでした。

一緒に歌う。

同じ時間を過ごす。

その楽しさを共有する。

それだけでも、人と人との間には、自然と笑顔が生まれることがあります。

「些細なことでも、楽しい気持ちを共有できることが大切なんだと思いました」

呉東さんは、そんなふうに感じたといいます。

小さな「安心」を積み重ねていく

食事介助する太陽の家スタッフ呉東さん

呉東さんが大切にしているのは、レクリエーションの時間だけではありません。

ショートステイでは、初めて利用される方も多くいます。

初めて訪れる場所で、知らない人たちと過ごす。

不安になるのは、きっと自然なことです。

だからこそ、まずは安心して過ごしてもらえるように、声をかけたり、部屋の場所を伝えたり、過ごしやすいように環境を整えたり。

一つひとつは、とても小さなことかもしれません。

それでも、最初は不安そうにしていた方が、少しずつ落ち着いて過ごせるようになる。

そして、笑顔が増えていく。

そんな変化を目にしたとき、呉東さんは嬉しさを感じるそうです。

大きな変化ではなくても、その人が少し安心できたこと。

その瞬間に立ち会えることも、介護の仕事の大切な部分なのかもしれません。

いつもと違う場所で、その人の知らなかった一面に出会う

もう一つ、呉東さんが印象に残っているのが、利用者様と屋上や外へ出て過ごす時間です。

いつもの場所を少し離れてみる。

一緒に歩きながら話をする。

すると、普段の生活の中ではなかなか聞けなかった話が出てくることがあります。

その人がこれまでどんな人生を歩んできたのか。

どんな経験をしてきたのか。

何気ない会話の中から、今まで知らなかった一面が見えてくることもあるそうです。

「一人ひとり違うんだな」と感じる瞬間でもあります。

長い人生を歩んできた方だからこそ、話を聞いていると「そんなことがあったんだ」と驚かされることも。

「人生経験が豊富な方たちなので、面白いお話が多いんです」

そう話す呉東さんの表情からも、利用者様との会話を楽しんでいることが伝わってきました。

「その人を知る」ことから始まる介護

屋上で語り合う呉東さんと利用者さん

一緒に歌う。

不安な方に声をかける。

散歩をしながら話を聞く。

どれも、特別なことではありません。

けれど、そうした何気ない関わりの中に、その人が安心できる時間が生まれたり、普段とは違う表情が見えたりします。

介護というと、「何かをしてあげる仕事」というイメージがあるかもしれません。

でも、呉東さんのお話を聞いていると、それだけではないように感じます。

その人がどんな人なのかを知る。

その人が何を感じているのかを考える。

そして、その人と一緒に時間を過ごす。

そんな積み重ねも、介護の大切な仕事なのかもしれません。

心に残るのは、大きな出来事とは限らない

「楽しかった」と言ってもらえたこと。

不安そうだった方が、少しずつ笑顔を見せてくれたこと。

外を歩きながら、その人のこれまでの人生について話を聞けたこと。

どれも、特別なイベントというわけではありません。

でも、そんな小さな出来事が、働く人の心に残っていきます。

毎日の中にある、何気ない時間。

その一つひとつを大切にすることが、利用者様との関係を少しずつつくっていくのかもしれません。

太陽の家横濱羽沢で流れているのは、特別な時間だけではありません。

歌を歌ったり、話をしたり、笑ったり。

そんな飾らない日常の中に、人と人の距離が少し近づく瞬間があります。


次回予告

次回は第6回「この仕事の好きなところ」。

日々の仕事の中で感じるやりがいだけではなく、働いているからこそ分かる、この仕事ならではの面白さや魅力についてお話を伺います。

太陽の家 横濱羽沢

施設名:特別養護老人ホーム 太陽の家横濱羽沢

住所:神奈川県横浜市神奈川区羽沢町2-1

TEL:045-442-4907

HP:https://www.ui21.or.jp/yokohama_hazawa/

もっと人にフォーカス!ローカル連載

地域の人やお店、活動している人の“想い”や“日常”を、少しずつ深く知ることができるのが連載記事の楽しさです。
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